ホウノキ

県下各地の山地に見られる樹木のうちで、最も大きい葉と花をつける落葉高木。細い枝でも指の太さほどあり、その枝の先に7~8枚の大きな葉が輪生状に付き6月頃に花径15センチ程の白色で芳香のある花を枝頂上に向けて咲かせる。古くは「ホウカシワ」と言われ、カシワとは食物を盛る意味である。今日でも木曽地方ではこの葉で包んだホウ葉餅がつくられているほか、ホウ葉味噌も知られている。夏の土用の頃に幹と皮を剥ぎ、日干しにしたものを「厚朴」といい、胃腸薬として腹痛、吐き気、下痢、利尿に煎じて服用する。漢方の処方にも利用され、咳やつわり、神経性胃炎に用いる「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」や、便秘に用いる「小承気湯(しょうじょうきとう)」等が有名である。成熟した果実は乾燥して煎じて解熱に服用する他、葉は夏に採取日干しにして酢で練り患部に塗布するとリューマチに効く。